華やぐ日々よ …詠山史純の愚考拙文録 2017年08月

対米英開戦の詔勅…米国及び英国に対する宣戦の詔書

対米英開戦の詔勅

…米国及び英国に対する宣戦の詔書



第119記事1


第119記事5慶応義塾福澤研究センター様依り
※画像は、慶応義塾福澤研究センター様のサイト依り、拝借。


天佑(てんゆう)を保有し、万世一系の皇祚(こうそ)を践(ふ)める
大日本帝国天皇は昭(あきらか)に忠誠勇武なる汝(なんじ)有衆(ゆうしゅう)に示す。

※天祐:天の助け。
※皇祚(こうそ)を践(ふ)む:皇位を継承する。
※昭(あきらか)に:はっきりと。
※有衆:国民(天皇から臣民に語り掛ける語)


朕(ちん)茲(ここ)に、米国及び英国に対して、戦(たたかい)を宣す。


朕(ちん)が陸海将兵は、全力を奮(ふるっ)て、交戦に従事し、
朕(ちん)が百僚有司は励精(れいせい)、職務を奉行(ほうこう)し、
朕(ちん)が衆庶(しゅうしょ)は各々、其の本分を尽し、
億兆一心(いっしん)、国家の総力を挙げて、征戦の目的を達成するに
遺算(いさん)なからんことを期せよ。

※百僚:多くの官吏。百官。
※有司:役人。
※励精:精を出して励むこと。また、その様。精励。
※奉行する:命令を奉じて、物事を執り行うこと。
※衆庶:諸々の人々。一般の人々。庶民。
※遺算:手落ち。計算違い。見込み違い。


抑々(そもそも)、東亜の安定を確保し、以(もっ)て、世界の平和に寄与するは、
丕顕(ひけん)なる皇祖考(こうそこう)、丕承(ひしょう)なる皇考の
作述(さくじゅつ)せる遠猷(えんゆう)にして、朕(ちん)が拳々(けんけん)
措(お)かざる所。

※丕顕(ひけん):大いに明らかなこと。(「丕」は「大)の意)
※皇祖考:天皇の亡祖父。(此処では明治天皇)
※丕承(ひしょう):大いに受け継ぐこと。
※皇考:天皇の亡父。(此処では大正天皇)
※作述する:先人の言説を伝え述べることと、自分で新しく説を為すこと。
  先人の業績を受け継いだり、新たに創作したりすること。
※遠猷(えんゆう):遠い将来まで考えた図り事。遠謀。
※拳々(けんけん):両手で恭しく捧げ持つこと。
※拳々措(お)かざる:常に心に持ち続けるの意。


而(しこう)して、列国との交誼(こうぎ)を篤(あつ)くし、万邦共栄の
楽(たのしみ)を偕(とも)にするは、之亦(これまた)帝国が常に国交の
要義と為す所なり。


※而して:そうして。そこで。そうであるから。
※交誼:親しい交わり。


今や不幸にして、米英両国と釁端(きんたん)を開くに至る。
洵(まこと)に已むを得ざるものあり。
豈(あに)朕(ちん)が志ならんや。

※釁端(きんたん):不和の始まり。
※釁端を開く:紛争を招く。
※豈(あに):(打ち消しの表現を伴って)決して。
 (反語表現で)どうして…であろうか。


中華民国政府、曩(さき)に帝国の真意を解せず、濫(みだり)に事を構えて、
東亜の平和を攪乱し、遂(つい)に帝国をして、干戈(かんか)を執るに至らしめ、
茲(ここ)に四年有余を経たり。

※曩(さき)に:先に。以前に。
※干戈(かんか):干(たて)と戈(ほこ)の意。武器。武力。戦争。


幸(さいわい)に国民政府更新するあり。
帝国は之と善隣の誼(よしみ)を結び、相(あい)提携するに至れるも、
重慶に残存する政権は、米英の庇蔭(ひいん)を恃(たの)みて、
兄弟(けいてい)尚(なお)未(いま)だ、牆(かき)に相鬩(あいせめ)くを
悛(あらた)めず。

※庇蔭(ひいん):ひさしの陰。庇(かば)うこと。また、お蔭を被ること。
※牆(かき)に相鬩(あいせめ)く:仲間同士が内輪で争う。
※悛(あらた)める:過ちを止めて、心を正すこと。


米英両国は、残存政権を支援して、東亜の禍乱(からん)を助長し、
平和の美名に匿(かく)れて、東洋制覇の非望を逞(たくまし)うせんとす。


剰(あまつさ)え、与国を誘(いざな)い、帝国の周辺に於いて、
武備を増強して、我に挑戦し、更に帝国の平和的通商に有(あ)らゆる妨害を与え、
遂に経済断交を敢(あえ)てし、帝国の生存に重大なる脅威を加う。

※剰(あまつさ)え:そればかりか。その上に。
※与国:助け合う関係にある国。同盟国。


朕(ちん)は政府をして、事態を平和の裡(うち)に回復せしめんとし、
隠忍久しきに弥(わた)りたるも、彼は毫(ごう)も交譲(こうじょう)の
精神なく、徒(いたずら)に時局の解決を遷延(せんえん)せしめて、
此の間(かん)、却(かえ)って益々、経済上軍事上の脅威を増大し、
以(もっ)て、我を屈従せしめんとす。

※毫(ごう)も:少しも。些かも。(後に打消しの語を伴い)
※交譲(こうじょう):互いに譲り合うこと。互譲。
※徒(いたずら)に:無駄に。虚しく。
※時局:国家・社会の、その時の情勢。世の中の成り行き。


斯(かく)の如くにして推移せんか、東亜安定に関する帝国積年の努力は
悉(ことごと)く水泡に帰し、帝国の存立、亦(また)正(まさ)に
危殆(きたい)に瀕(ひん)せり。

※推移せんか:推移したならば。
※危殆に瀕する:非常に危ない状態になる。大きな危機に曝される。


事(こと)既(すで)に此に至る。
帝国は今や、自存自衛の為、蹶然(けつぜん)起(た)って、
一切の障礙(しょうがい)を破砕(はさい)するの外(ほか)無きなり。

※蹶然(けつぜん):勢い良く立ち上がる様。勢い良く行動を起こす様。


皇祖(こうそ)皇宗(こうそう)の神霊、上(かみ)に在り。

※皇祖皇宗:天皇の始祖たる神武天皇と当代に至る迄の歴代の天皇。


朕(ちん)は、汝(なんじ)有衆(ゆうしゅう)の忠誠勇武に信倚(しんい)し、
祖宗(そそう)の遺業を恢弘(かいこう)し、速(すみやか)に禍根を
芟除(さんじょ)して、東亜永遠の平和を確立し、以(もっ)て、
帝国の光栄を保全せんことを期す。
(文責在詠山史純)

※信倚(しんい)する:信じ頼ること。信頼すること。
※祖宗(そそう):「皇祖皇宗」の略称。
※恢弘(かいこう):事業等を大きく押し広めること。
※芟除(さんじょ):刈り除くこと。良くないものを取り除くこと。


御名御璽

昭和十六年十二月八日

内閣総理大臣兼内務大臣兼陸軍大臣 東条英機
文部大臣 橋田邦彦
国務大臣 鈴木貞一
農林大臣兼拓務大臣 井野碩哉
厚生大臣 小泉親彦
司法大臣 岩村通世
海軍大臣 嶋田繁太郎
外務大臣 東郷茂徳
逓信大臣 寺島 健
大蔵大臣 賀屋興宣
商工大臣 岸 信介
鉄道大臣 八田嘉明


第119記事2
「米国及び英国に対し宣戦」昭和16年12月8日「官報号外」




東京日日


大阪毎日


朝日夕刊2





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テーマ : 歴史 - ジャンル : 学問・文化・芸術

2017/08/19 13:54 | 日本の心魂COMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

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