華やぐ日々よ …詠山史純の愚考拙文録 「神」という苗字

「神」という苗字

「神」という苗字



「神」という、畏怖すべき高貴な言葉そのままの苗字を
名乗られているお家がある。

私が初めて「神」という苗字を目にしたのは、太平洋戦記を
読んだ子供の頃のこと。

カラー 大和400

沖縄戦で、戦艦大和の水上特攻作戦を強硬に主張したとされる
連合艦隊首席参謀 神 重徳(かみ しげのり)海軍大佐のお名前は
有名である。
焼酎で名高い鹿児島出水市の「神酒造」の社長さんは、
神大佐のご子息とのこと。
ドイツ駐在武官勤務の後、ナチス一点張りのドイツ贔屓となり、
ヒトラー髭まで蓄えていたとか。
高木惣吉海軍少将が首謀指揮をした東條英機首相暗殺計画にも
加担された方であるという。
やはり、「神懸かり重徳」と渾名されていたそうな。

神大佐(殉職により、少将に特別進級)の名誉の為に…
大和の特攻が決まると、神大佐は第二艦隊参謀への転任を志願して
特攻作戦に参加することを望まれたそうだが果たせず、戦後、
終戦業務で出張中に、搭乗機が津軽海峡で不時着水。
事故機の近くに米軍水上機が着水して、他の乗員は救助されたにも
拘わらず、神大佐は「空をずうっと見回して、一通り空を
見回してから、ぷくぷくと沈んで」しまわれたという。
戦後一ヶ月を経た、9月15日の出来事とのことであった。

「天気は良かったし、神大佐は兵学校以来、水泳の名人」で
あったそうで、「第二艦隊参謀として戦死しなかった償いを自ら
したんだ」ということで、神大佐を知る人々には、自決をされた
のだと信じられたそうである。

大神神社400

ところで、「神」姓には様々な訓み方がある。
「かみ」「じん」「しん」「かも」「こう」

「あお」という訓みは「阿老」で、ご老体の神様を表わす。

「かなえ」と訓む場合は、
神様が願いを「叶え」て下さるということからなのであろう。

「みわ」という訓み方もある。
奈良県桜井市三輪に、有名な大神神社(おおみわじんじゃ)
「三輪明神」がある。


この「みわ」というのは「御輪」、後に転じて「三輪」、
神にお供えするお神酒などを入れる器を意味し、「かみ」と直接表現
することをご遠慮申し上げて、「みわ」で間接的に「神」を表現した
ものなのだろう。
日本語には直接表現を避けて、間接的な表現を好む傾向が強い。

「みわ」と訓む場合には、「神々」姓もある。
日本の神道は多神教だからということなのであろう。


これらの「神」姓は、ご先祖様が神職所縁のご家系なのだろうか。
それにしても、青森県には「神」姓のお家が多いようだ。
「じん」とお訓みするお家が多いようだが、10年程前のデータでは
県内34位にランキングされていて、推定人口7100人となっていた。
これ程までに多いということは直接、ご先祖様が神職に関わった
ことに由来するというよりも、むしろ「神社」そのものか、
神社近辺の「地名」に由来するものなのかも知れない。


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2011/06/17 16:38 | 姓氏の語源COMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

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