華やぐ日々よ …詠山史純の愚考拙文録 占いの歴史夜話⑲…我が国で創始された姓名判断

占いの歴史夜話⑲…我が国で創始された姓名判断


占いの歴史夜話⑲ 

…我が国で創始された姓名判断



世界中には約300種類もの占術があると言われるが、運命や運勢の暗示を
解読し、将来を推理する根拠が如何なるものであるかという占い方法に依る
分類法では、命術(めいじゅつ)、相術(そうじゅつ)、卜術(ぼくじゅつ)」
の三種類に大別することが出来る。

霊感占いに関しては、先天的に特殊な内的直感力、霊的能力に恵まれた
サイキックとも呼ぶべき占い鑑定士が、生年月日や名前、手相、人相など、
対象者からの情報提示を受けなくとも、その優れたインスピレーションで
情報を受信することに依って占うので、この類型の範疇ではない。
但し、日本でもアメリカでも、霊感占い鑑定士(アメリカではサイキック)は、
集中力や精度を更に高める為に、観相やタロットカード占い、水晶占いなどの
占術も併用することが多いようである。


「命術」は生年月日や時間など、出生した時点で先天的に定められている
必然的な要素を用いて、先天的な運命(宿命)を推理する占術で、四柱推命や
西洋占星術、九星気学、算命学などがこれに相当する。

「相術」は、形のある対象の「様相」、手相や人相、名相などの「相」を
過去の統計的(厳密な意味での統計学ではない)な経験データに基づいて、
その意味するところを解読する占術で、手相術、人相術、姓名判断(名相術)
などがこれに相当する。
命術が先天運を対象とするのに対して、相術は主に後天的な運命や運勢を
解読する占術である。

「卜術」は、自然現象の変化や、何らかの偶然的な事象など、例えば、引いた
カードの絵柄が何であるか、投げたコインの裏表や、振ったサイコロの目など、
偶然に出た結果を、信頼すべき必然的なサインとして捉えて、判断、推理する
占術で、タロット占いやトランプ占い、周易、御神籤などがこれに相当する。
特に、易を立てて占うことを「卜占(ぼくせん)」とも、「占卜(せんぼく)」
とも言う。


第19記事10
「いつもNAVI」様より、北上展勝地の画像を拝借。


姓名判断は、名前に表われている相(名相)から、その人の資質や性格、
運勢など、後天運を診断する占術で、相術の範疇に分類される。
厳密に言えば、後天運は更に「先天的な後天運」と、「後天的な後天運」に
分けられる。
「先天的な後天運」は、持って生まれた運命的な傾向性を意味し、「後天的な
後天運」とは、自らが抱く運命的な傾向性を、克己心を奮い起こし、自助努力
することに依って、方向転換させた後天的な運勢を意味する。

先天運(宿命)と後天運(運命)の違いは、クルマの走行に譬えると解り易い。
先天運というクルマが走行すると譬えた場合、その「運転状態・運転環境」の
在り様が後天運であると考えることが出来る。
どんな状態の道を走行するのか?
平坦でハイウェイのように整備された快適な道を行くのか?
それとも、原野のような悪路を進まねばならないのか?

どんな天候状態なのか?
春の日の柔らかい日差しを浴びて行くのか?
それとも、風雪厳しき荒天の中を進まねばならぬのか?

そして、その時、ドライバーがどんな「思いを味わう」のか?
心の底から湧き上がるかのような心地良い歓喜に浸るのか?
それとも、身も凍り付くかのような孤独感に苛まれねばならぬのか?

譬えて言うならば、これらの「運転状態・運転環境」が如何なるものであるか
を読み解き、占いの依頼者にお伝えすることが、姓名判断に依る運勢鑑定と
言えるであろう。
同姓同名の場合、クルマの「運転状態・運転環境」は同様の傾向性であるが、
そもそも、そのクルマがバイクなのか、ジープなのか、ベンツ車なのかという
宿命的な相違があるということになる訳である。


第19記事7
「GATAG」様のフリー画像・写真素材集1.0より、フリー画像を拝借。


姓名判断は明治時代中期、支那の陰陽五行思想や易学を基盤とした上で、
数霊の理論を導入し、日本で体系化された比較的新しい占い方法である。
昭和4年(1929年)、運命鑑定所「五聖閣」の設立者である熊崎健一郎氏は、
自らが考案した「熊崎式姓名学」という判断法を月刊誌「主婦之友」誌上で
発表、その著書「姓名の神秘」が出版され、日本姓名学中興の祖と呼ばれる
ほどに、現代の姓名判断の基礎理論構築、普及に多大な貢献をされた。
詳細は不明であるが、「熊崎式姓名学」は、易学者の林文嶺氏と言語学者の
永社鷹一氏が体系化した「林永流運命学」を基盤としているという説もある。
「熊崎式」は「五聖閣流」とも言い、1~81までの運数の暗示するところの
象意、「数の持つ運気」に基づいて、運勢鑑定をする占術である。
因みに、ご本名は「熊崎健一郎」氏であったが、還暦を期に戸籍上でも名の
変更をされ、「熊崎健翁(くまざき けんおう)」氏と改名されたという。
※熊崎氏の「崎」の字は、正しくは「大+可」ではなく、「立+可-一」である。


第19記事1
「PAKUTASO」様のフリー画像を拝借。


姓名判断の起源を、支那唐代に流行したという「測字(そくじ)占法」に
求める向きがある。
「測字」は「析字(せきじ)」「破字(はじ)」とも呼び、占いの依頼者が占い
たいことを意識して、頭に思い浮かべた漢字を一文字書き、その漢字を様々に
分解、分析し、そこから占断に必要な解釈を読み取る占い方法であるという。
しかし、確かに姓名判断は陰陽五行説や易学など、古代支那で誕生した運命学
を基礎理論として構築されているものの、主に姓名に用いられている文字の
画数から種々、占断に必要な数値を算定して解読という、数霊重視の現在の
運勢診断方法は日本独自の発想であり、体系化である。
古神道には、文字に秘められた数霊の象意を読み取り、その人の運勢を診る
名霊法(なのたまほう)という占法があった。
日本には古来、数は神秘なるもの、数は神なるものという数霊(かずたま)
への信仰があったと推察される。

姓名判断では、数霊とは別のニュアンスで、音霊(おとだま)の象意に依る
診断も加味する。
一例を挙げれば、インドのサンスクリット音韻学を基礎に、五十音の一音一音
にも、それぞれ異なる音意、音霊があるとして、名の初音重視で、性格や運勢
の暗示を読み取る。
古神道にも言霊(ことだま)に依る占い方法があり、例えば、「『あ』は全ての
ものの形が現われる兆しであり、物事の成立する兆しである」など、言霊は
50音それぞれに玄妙な意味が付されている。


第19記事9
「PAKUTASO」様のフリー画像を拝借。


実は、私も姓名学の研究を始めるまでは数霊の世界には疎く、名前の画数から
人の運勢を探るなど何と陳腐でふざけた占いであろうかと、小馬鹿にしていた
ものである。
「名詮自性(みょうせんじしょう)」、すなわち「名は自らの性を詮じ表わす」
という意味の仏教語がある。「詮」は備える意。「自性」は自らの性質の意。
「名というものは、そのもの自体の本質、本性を表わすものであるということ」
「名というものが、自らの性質を備えているということ」「名実相応」「名実一体」
平たく言えば、「名は体を表わす」ということであるが、それとこれとは全く
別で、人の名前から運勢解読が出来るという根拠が、随分と無理のある理屈に
思えたものである。
しかし、現実には姓名学は優れた占術であると同時に、実践的開運学でもある。
姓名判断で、自分自身の気性や性格的な傾向性、運命的な傾向性を再認識し、
実生活の上で生起する現象面との因果関係を推察し、そのことに依って、
自分自身の選択力を改善する努力の仕方や、方向性を見出し、自力即他力、
他力即自力の実相を踏まえた上で、人生を良き方向へと転換して行こうと
いうものである。
自助努力のみならず、吉祥名を撰名して、数霊誘導という手段に依る運気自体
の補強改善を図るという、吉改名に依る開運法もある。


第19記事4
「PAKUTASO」様のフリー画像を拝借。


姓名判断の流派は文字の画数の数え方の違いで、二派に大別することが出来る。
支那の漢字字典「康煕字典(こうきじてん)」に基づいた旧字体の画数で算定
する「正字主義」と、実際に書く場合の、省略された新字体の画数で算定する
「筆勢主義」である。
「正字主義」の場合、略字を「便宜上の記号」と捉え、文字の霊意というもの
を重んじることから、飽くまでも旧字体の画数を以って算定する。
例えば、「氵」(サンズイ)は、実際に書く場合は3画であるが、本来「水」が
偏になった時の形なので、文字の霊意を重んじて、4画と数える。
また、クサカンムリは3画ではなく、竹の草の篆書体「艸」で6画と数える。
「郞」などの「阝」(右側・オオザトヘン)は本来、「邑」の意味であること
から、3画ではなく、7画として数え、「陽」などの「阝」(左側・コザトヘン)
は「阜」が字源なので、8画と数えるといった具合である。

また、漢数字の画数の数え方は、「正字主義」では文字の霊意を重視し、本来の
画数ではなく、数字そのものを画数として、「四」は4画、「五」は5画、「六」
は6画、「七」は7画という具合に数える。
一方、「筆勢主義」では、実際に書く文字の画数で数えるので、「四」は5画、「五」
は4画、「六」は4画、「七」は2画という具合に数えることになる。

漢字一文字の画数の数え方で1画違っただけでも、算定する数値に相違が生じ、
当然のことながら、そのデータを根拠にした解読には大きな隔たりが生じる。
「正字主義」と「筆勢主義」とで、画数の数え方の違う漢字数は全体の約2割
程度であろうか。
私は飽くまでも「正字主義」を採っているが、現代では「筆勢主義」が主流と
なっているようである。



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2016/11/27 22:06 | 占いの歴史COMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

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